【要約】中小企業の賃上げがー!実質賃金がー!データで見ましょう【髙橋洋一チャンネル#1552】

【要約】中小企業の賃上げがー!実質賃金がー!データで見ましょう【髙橋洋一チャンネル#1552】
『髙橋洋一チャンネル」は、数量政策学者で嘉悦大学教授の髙橋洋一さんが視聴者の質問に答える形で、政治経済世界情勢など現在進行中の問題について理路整然と解説してくれるYouTubeチャンネルです。

  賃上げは大企業ばかり 中小企業は全然の声

【要約】『高橋洋一チャンネル#1552』

春闘データで見る大企業と中小企業の賃上げ格差

・髙橋氏は、賃上げを検証する代表的な統計として、春闘の賃上げ率と厚生労働省の現金給与総額の二つがあると説明
・「大企業だけが賃上げし、中小企業は追いついていない」という意見について、まず春闘のデータから実態を確認すべきだとした
・連合が発足した1989年以降、中小企業の賃上げ率が3%を超えた期間は、主に1989~1994年と2023~2026年に限られると指摘
・その間の約30年間は、中小企業の賃上げ率がほぼ3%以下で推移しており、これが**「失われた30年」**を象徴する状況だと説明した
・1989~1994年の平均賃上げ率は、全体が4.78%、中小企業が4.79%で、企業規模による差はほとんどなかったとした
・一方、2023~2026年の平均では、全体が4.74%、中小企業が4.26%となり、約0.5ポイントの差が生じていると説明
・ただし、差は1ポイント未満であり、「中小企業だけが賃上げから大きく取り残されている」と断定できるほどの格差ではないとの見方を示した
キーワード:春闘,賃上げ率,中小企業,大企業,失われた30年,現金給与総額

中小企業間のばらつきと労働組合の交渉力

・髙橋氏は、中小企業は企業数が多く、業種や収益力、採用状況などによって賃金水準のばらつきが非常に大きいと指摘
・春闘の集計は主に労働組合が存在する企業を対象としているため、組合のない中小企業の実態とは異なる可能性があると説明した
・大企業では労働組合が整備されている場合が多く、賃金交渉を組織的に進められるため、中小企業よりも交渉上有利になりやすいとした
・一方、労働組合のない中小企業では、従業員側の交渉力が弱く、全体の賃上げ率が高くても、その恩恵を十分に受けられないケースがあると分析
・「大企業と中小企業の格差が非常に大きい」と感じる人は、賃上げ余力が乏しく、労働組合もない企業に勤務している可能性があると述べた
・人手不足で積極的に求人を行っている企業では給与が高くなる一方、業績が低迷する企業では賃上げが進まないなど、中小企業を一括りにして論じることは難しいと指摘した
キーワード:中小企業,労働組合,交渉力,賃金格差,人手不足,企業間格差

賃金に不満がある場合は転職という行動も選択肢

・髙橋氏は、勤務先の賃金が上がらない場合、待遇の改善を待ち続けるだけでなく、より給与の高い企業を探すことも現実的な選択肢だと述べた
・特に中小企業は経営環境の変化を受けやすく、将来的な安定性も企業によって大きく異なるため、一つの会社へ長期間とどまることが常に有利とは限らないと指摘
・大企業では長期勤続によって待遇や退職金などのメリットが得られる場合もあるが、中小企業では同じ考え方が必ずしも当てはまらないとした
・賃金への不満を訴え続けるだけではなく、成長産業や人材を求めている企業へ移るなど、自ら行動することが重要だと主張した
・転職しやすい労働市場を整備し、従業員がより条件の良い企業へ移動できれば、企業側にも賃金を引き上げる圧力が働くと考えられる
キーワード:転職,賃金,中小企業,人材移動,労働市場,待遇改善

コーポレートガバナンス改革と株主偏重論

・2015年ごろから導入されたコーポレートガバナンス・コードによって株主重視の経営が強まり、利益が従業員へ還元されなくなったとの批判があることが紹介された
・これに対して髙橋氏は、春闘データで確認できる大企業と中小企業の賃上げ率の差は約0.5ポイントであり、株主偏重によって極端な賃金格差が生じたとは読み取れないと指摘
・制度変更と賃金の伸びを関連づけるのであれば、印象や主観ではなく、実際のデータによって因果関係を検証する必要があると述べた
・「企業が株主ばかりを優遇している」という議論についても、株式による収益と給与所得では、引き受けているリスクの性質が異なると説明した
・株式を保有している人は、景気が良くなれば株価上昇の恩恵を早く受ける一方、景気が悪化すれば資産価値の下落という損失も早く受けるとした
・株主への利益還元が目立つ局面だけを取り上げ、株価下落時の損失を考慮しなければ、株主と従業員の公平な比較にはならないと指摘した
キーワード:コーポレートガバナンス・コード,株主偏重,賃上げ格差,利益還元,データ検証,株価

給与所得と株式投資のリスクの違い

・髙橋氏は、給与所得は景気の変動に対して比較的安定しており、景気が改善しても急激には増えない一方、景気が悪化しても株価ほど急激には下がらないと説明
・これに対し、株式投資は景気回復時に収益が大きく増える可能性があるものの、景気後退やデフレ時には株価が大幅に下落する危険があるとした
・好景気の局面では株式を保有する資本家の所得が給与所得者より早く増えるため、両者の格差が拡大したように見えると指摘
・しかし、その違いは株主が価格変動のリスクを負っていることの反映であり、株式の収益だけを見て不公平と評価するのは適切ではないと述べた
・株式を持たない給与所得者は、株価上昇の恩恵を直接受けにくい一方、デフレや株価暴落時にも給与が直ちに大幅減少するとは限らないと説明
・給与所得者の一部が物価の下がるデフレを好む場合があるものの、デフレは企業収益や雇用、経済全体には深刻な悪影響を与えると指摘した
・リスクを取る人は上昇局面で大きな利益を得る一方、下降局面では大きな損失を受けるという基本的な関係を理解する必要があるとした
キーワード:給与所得,株式投資,景気変動,デフレ,資本家,投資リスク

実質賃金は4カ月連続プラスへ転換

・髙橋氏は、これまで「賃金の伸びが物価上昇に追いついていない」とする実質賃金への批判が繰り返されてきたと指摘
・しかし、4月時点では実質賃金が4カ月連続でプラスになっており、以前ほど実質賃金の低下を強調する声が聞かれなくなったと述べた
・髙橋氏自身は以前から、物価上昇が先行しても賃金は遅れて上昇するため、物価が落ち着けば実質賃金はプラスへ転じると予測していたと説明
・賃金は物価よりも変化が遅いという性質があり、物価上昇率が鈍化した後も賃金上昇が続けば、名目賃金の伸びが物価上昇率を上回るようになるとした
・春闘の賃上げ率だけではなく、所定内給与、残業代、賞与などを含む現金給与総額を確認することが重要だと指摘
・現金給与総額の伸びは今後3%程度になる可能性があり、物価上昇率が2%未満で推移すれば、実質賃金のプラスは継続しやすいとの見通しを示した
キーワード:実質賃金,名目賃金,物価上昇率,現金給与総額,所定内給与,賃上げ

印象論ではなく数字に基づく経済議論を

・髙橋氏は、実質賃金が下がっていると主張するのであれば、抽象的な言葉や悲観的な印象ではなく、具体的な統計数字を示すべきだと強調
・実質賃金がマイナスの間は大きく報道し、プラスへ転じると報道が減る傾向があるとして、メディアの扱い方に疑問を呈した
・多くの人が統計を確認せず、報道や周囲のイメージをそのまま受け入れているため、経済の実態と認識の間にずれが生じると指摘した
・物価が先に上昇し、その後に賃金が追いつくという流れは予測可能であり、一時点の数字だけを見て過度に悲観するのは適切ではないとした
・賃金や物価に関する議論では、春闘の賃上げ率、現金給与総額、物価上昇率、実質賃金などを組み合わせ、時系列で判断する必要があると説明
・否定的な情報だけを強調し、状況が改善した後の数字を十分に伝えないことが、オールドメディアへの不信につながっていると批判した
キーワード:データ重視,実質賃金,経済統計,物価上昇,時系列分析,オールドメディア