5月14日 – 今日は何の日?

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「種痘記念日」とは?
1796年のこの日、イギリスの医学者エドワード・ジェンナーが世界で初めて種痘(しゅとう)の接種を行いました。種痘というのは、天然痘の天然痘のワクチンことで、この日を「種痘記念日」とされています。
当時、天然痘(てんねんとう)は最も恐ろしい病気の一つで、ヨーロッパだけで年間60万人もの命が奪われていました。この病気は発症すると高熱が続き、全身に化膿性の発疹ができ、幸運にも治癒した人でも顔にひどい痘痕(あばた:皮膚に小さなくぼみが残る)が残ることになります。
以前より、一度天然痘にかかった人は、二度とこの病気にならないことが知られていました。ある時、ジェンナーは乳搾りをしていた女性から牛痘にかかると天然痘にかからないことを聞き、その現象に興味を持ちました。
古くからイギリスの酪農地帯では、牛の皮膚に痘疱が多数できる伝染病がたびたび流行しました。乳牛の乳房に多数の痘疱ができ、乳搾りの人の手がこの痘疱にふれると、手の傷から牛痘にかかり2〜3週間後には瘡蓋(かさぶた)となって治ってしまいました。ほとんどの乳搾りの人は牛痘にかかったことがあるので、天然痘にはかからなくてすむようになったのでは?ということです。
ジェームス・フィリップスという8歳の男児が実験台になりました。(ジェームスはジェンナーの息子ではなく、ジェンナー家の使用人の息子です)そこで、牛痘にかかった乳絞りの女性サラ・ネルムズの手の水疱からとった膿(うみ)を、ジェームスの腕に接種しました。10日後に発症したがすぐに治癒し、その後天然痘を接種しても感染しませんでした。
ジェンナーはこの実験結果を1798年に論文として発表しましたが、当時は反論者も多く、学会では認められませんでした。しかし、ジェンナーは貧しい人々に無料で種痘の接種を行い、次第に認められるようになりました。ジェンナーが「種痘法」の特許をとらなかったのは、特許をとるとワクチンが高価なものになり、多くの人々に行き届かないと考えたからです。
その後、天然痘による死者数は劇的に減少し、1979年に世界保健機構(WHO)によって天然痘の根絶が確認され、翌1980年には「天然痘根絶宣言」が行われました。天然痘は、人類が根絶した唯一の感染症となりました。
ジェンナーは天然痘の予防において、世界を一変した世紀の発見である安全な牛痘接種の種痘法を開発しました。自主出版した論文「Inquiry」は医学や生物学に多大な貢献をしました。予防医学ならびに免疫学の基礎となり炭疽菌に対する免疫研究の道を切り開きました。それから75年後に狂犬病を研究したパスツール、結核菌のコッホらに受け継がれます。そのため、ジェンナーは「近代免疫学の父」とも称されています。
ジェンナーから「ワクチン」の進化
1798年、ジェンナーは牛痘を使った天然痘予防の方法を報告しました。これは、人類史上初めて科学的に記録されたワクチンです。その後、1880年代にフランスのパスツールとドイツのコッホが微生物に対するワクチンの基礎を築きました。
特にパスツールは、「強い病気を起こすものから弱い病気を作り出してワクチンにする」という考え方を提案し、この原理は現在でも広く使われています。1900年代には新しいウイルスや細菌が発見され、鳥の卵を利用したウイルス増殖法や細胞培養技術、組み換えDNA技術などが進歩し、次々と新しいワクチンが開発されました。
ワクチンは古典的な種痘から生ワクチン、そして不活化ワクチンへと進化し、安全性も向上しました。1980年には、長い間人類を苦しめた天然痘がWHOによって撲滅宣言され、ワクチンによる疾病制御の成功例となりました。現在では、多くの感染症に対するワクチンが存在し、これらの病気にかかることが当たり前ではなくなりました。
新型コロナ対策の「ワクチン」と既存の「ワクチン」とのちがいは?
これまで使用されていたワクチン(不活化ワクチン、組換えタンパクワクチン、ペプチドワクチン)はウイルスの一部のタンパク質を人体に投与し、それに対して免疫が出来る仕組みでした。
mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンやウイルスベクターワクチンでは、ウイルスのタンパク質をつくるもとになる遺伝情報の一部を注射します。人の身体の中で、この情報をもとに、ウイルスのタンパク質の一部が作られ、それに対する抗体などができることで、新型コロナウイルスに対する免疫ができます。
ファイザー社とモデルナ社のワクチンは、mRNAワクチンと呼ばれ、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質を作り出すための設計図であるmRNAを脂質の膜に包んだものです。ワクチン接種後、mRNAがヒトの細胞内に取り込まれ、スパイクタンパク質が産生されます。これにより、中和抗体産生や細胞性免疫応答が誘導され、新型コロナウイルス感染症の予防ができると考えられています。
一方、アストラゼネカ社のワクチンは、ウイルスベクターワクチンと呼ばれ、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質を作るための遺伝子をサルアデノウイルスに組み込んだものです。ワクチン接種後、遺伝子がヒトの細胞内に取り込まれ、スパイクタンパク質が産生されます。これにより、中和抗体産生や細胞性免疫応答が誘導され、新型コロナウイルス感染症の予防ができると考えられています。
歴史上の出来事
- 1643年 - ルイ14世が4歳でフランス王に即位。
- 1796年 - エドワード・ジェンナーが8歳の少年に対し初めて牛痘の膿(種痘)を使用。
- 1811年 - パラグアイがスペインから独立。
- 1868年(慶応4年4月19日) - 戊辰戦争: 宇都宮城の戦い
- 1870年 - ニュージーランドにおける初のラグビーフットボールの試合が行われる。
- 1874年 - ハーバード大学で、世界で初めてアメリカンフットボールの試合が行われる。
- 1878年 - 内務卿大久保利通が暗殺される。(紀尾井坂の変)
- 1900年 - 第2回夏季オリンピック、パリ大会開催。
- 1910年 - ロンドンで日英博覧会開催。
- 1913年 - ロックフェラー財団の設立が認可される。
- 1932年 - チャールズ・チャップリンが初の来日。
- 1940年 - 第二次世界大戦・オランダにおける戦い: ナチス・ドイツ軍がロッテルダムを爆撃し、オランダが降伏。
- 1945年 - 第二次世界大戦・日本本土空襲: 名古屋空襲で名古屋城が焼失。
- 1948年 - イスラエルが建国を宣言。同日、アラブ連盟5カ国がイスラエルへの戦争を宣言し、第一次中東戦争が始まる。
- 1955年 - ソ連を含む8カ国の共産圏諸国が相互軍事援助を目的としたワルシャワ条約に調印。
- 1971年 - 第48代横綱大鵬が引退。初の一代年寄に。
- 1972年 - 火炎瓶処罰法公布・施行。
- 1973年 - アメリカ合衆国初の宇宙ステーション「スカイラブ」が打ち上げられる。
- 1991年 - 信楽高原鐵道列車衝突事故が起こる。
- 1991年 - 第58代横綱千代の富士が引退。
- 1997年 - エア・カナダ、ルフトハンザ航空、スカンジナビア航空、タイ国際航空、ユナイテッド航空によりスターアライアンスが設立される。
- 1997年 - アイヌ新法が公布。
- 1999年 - 自動車のナンバープレート(自動車登録番号標のみ)の分類番号3桁化が全国で行われ、レンタカーと駐留軍車の希望番号制度を実施。
- 2004年 - 盧武鉉韓国大統領弾劾訴追: 韓国の憲法裁判所が弾劾訴追を棄却、盧武鉉大統領が職務に復帰。
- 2004年 - 超党派野党、衆参両議院に選択的夫婦別姓制度導入を求める民法改正案を提出。
- 2006年 - 交通博物館が閉館。
- 2007年 - 日本で、日本国憲法改正の手続きを定める「国民投票法」が成立。
- 2010年 - スペースシャトル「アトランティス」が最後の打上げ[1]。
記念日・行事・お祭り
- 種痘記念日
- 1796年5月14日に、イギリスの外科医エドワード・ジェンナーが初めて種痘の接種に成功したことから。
- 温度計の日
- 水銀温度計を発明した、ドイツの物理学者ガブリエル・ファーレンハイトの1686年の誕生日に因む。なお、この日付はユリウス暦に基づくものであるが、グレゴリオ暦が使用されている。
本日の誕生日
5月14日には、ジョージ・ルーカス(映画監督)、日村勇紀(お笑いタレント)、マーク・ザッカーバーグ(Facebook設立者)、が誕生しています。(敬称:略)