【要約】日本は金杉大使“交代”そしてCUES“招集”を【門田隆将チャンネル#0061】

INDEX(目次)
日本は金杉大使“交代”そしてCUES“招集”を
『門田隆将チャンネル#0061』を要約
中国軍機によるレーダー照射と中国側説明の虚偽
・中国軍機が自衛隊機に対し、ミサイル発射前に使用する火器管制レーダーを照射し、事実上の「戦闘開始準備」と同等の危険行為に及んだとの見方
・中国側は「当てたのは捜索レーダーであり、火器管制レーダーではない」と主張するが、両者は用途もレベルも全く異なると指摘
・捜索レーダーは広く目標を探知するもので、攻撃直前に目標にビームを集中させる火器管制レーダーとは性質が違うため、中国の説明は「明らかな虚偽」と断定
・この種のレーダー照射は、相手機に「撃墜されても仕方がない」と解釈され得る極めて重大な挑発であり、偶発的戦闘のリスクを高める
NOTAM未発出と小泉防衛大臣答弁の意味
・日本側の小泉防衛大臣は、国会(予算委員会)で「中国は訓練空域に関するNOTAMや航空警報を事前に出していなかった」と明言
・中国は「管制官同士の無線連絡で事前通告した」と主張するが、単なる無線連絡は国際的に認められた正式な訓練通知とはみなされないと説明
・NOTAM(Notice to Air Missions / Airmen)は「どこで・何を・いつ行うか」を事前に広く知らせる仕組みであり、これがなければ周辺国の航空機・民間機は危険を回避できない
・NOTAMを発出せず、既成事実的に訓練を行った中国のやり方は、国際的な安全ルール無視であり、言い逃れは通用しないと批判
中国語なまり英語の交信問題と最前線の実情
・今回、日本側と中国側の間で行われた交信には、中国語なまり英語を話す日本側女性自衛官の応答が含まれていたと報道
・この点は、日本側が公に問題視していないこともあり、あえて追及は控える姿勢を表明
・日中の最前線では、中国語で交信できる自衛官を配置しているケースもあり、その語学能力やバックグラウンドを一括りに批判することは避けるべきだと説明
・本質的な論点は「誰が話したか」ではなく、「中国側がNOTAMも出さず危険な訓練を行った」という構造的問題だと強調
金杉大使とチャイナスクール外交への批判
・在中国日本大使である金杉大使が、中国系メディアフェニックステレビの取材に応じた際、終始「対話が重要だ」と繰り返すだけだったと指摘
・中国側が日本を激しく非難している局面で、日本側の代表が具体的な反論や日本の立場を明確に示さず、「対話」という抽象語に逃げていると批判
・これは外務省のチャイナスクール(若手時代から中国に留学・赴任し、中国側に厚遇されてきた官僚群)の典型的な思考パターンだと説明
・チャイナスクール出身者や、その影響下にある大使は「中国に逆らってはいけない」という意識が骨の髄まで染み込み、結果として極端に弱腰外交になっていると問題視
・前任の樽見秀夫大使のように、中国側に言うべきことをはっきり主張できる人物を改めて起用すべきであり、金杉大使は速やかに交代させるべきだと提言
米メディア報道と米国務省の対中批判への転換
・英紙フィナンシャル・タイムズが、日本は中国との争いに関してトランプ前大統領政権の「沈黙」にフラストレーション(不満)を抱いていると報道
・これは、日本政府や関係者が「なぜ米国は何も言わないのか」と強く働きかけてきたことが、米側関係者から洩れ、記事になったものと解釈
・その直後、ロイター通信などを通じて、米国務省報道官が中国のレーダー照射行為を「地域の平和と安定を損なう」と公式に批判
・報道官は、日米同盟は「かつてないほど強固」であり、日本への関与は「揺るぎない」と語り、この問題も含めて緊密に連携していると表明
・台湾有事を含む対中抑止の文脈でも、米国が明確に日本側に寄り添う姿勢を示したことは、高市政権(高市首相)の対米働きかけの成果でもあると評価
トランプ・高市首相の関係と対米メッセージ
・トランプ前大統領は、ワシントンでの空母上のイベントで高市首相について「彼女は賢い女性だ」「彼女は勝者だ」と絶賛した経緯があると紹介
・このような関係性や意思疎通があるからこそ、日本側の「なぜ米国は発言しないのか」という不満が届き、それを受けて米国務省の明確な対中批判に繋がったと見る
・日本が沈黙せず、同盟国に対しても積極的に自国の安全保障上の懸念を伝えることの重要性を示すケースとして位置づけ
CUES緊急開催要求という具体的提言
・2014年4月22日、中国の青島に21カ国の海軍高官が集まり、海上での偶発的衝突を避けるための行動規範CUES(海上衝突回避規範)に合意した経緯を詳述
・このCUESでは、軍用機・軍艦間の接近時の行動ルールや、火器管制レーダー照射など危険行為を避けるべきことが取り決められていると説明
・今回の事案はCUESの精神に明確に反しているため、日本が主導してCUESの「緊急会合」開催を要求すべきだと提案
・中国が出席を拒否しても構わず、日本・米国・豪州・フィリピン・ベトナムなど太平洋の主要国だけでも集まり、火器管制レーダー照射禁止の確認や違反への罰則を盛り込むべきと主張
・このような多国間の枠組みを通じて、「日本は黙っていない」「国際ルールで対抗する」という姿勢を中国に示すことが重要だと訴える
中露の共同飛行とTU-95爆撃機の示威行動
・今回のレーダー照射事案後、中国空母打撃群が日本近海を通過し、その後ロシア爆撃機とともに日本周辺で共同飛行を実施
・ロシア側は、核兵器搭載能力を持つ大型爆撃機TU-95を投入し、日本列島周辺を周回するような飛行を行ったと紹介
・一度舐められると、中国やロシアは行動をエスカレートさせ、示威行動が常態化する危険性を強調
・その意味でも、今回の事案をうやむやにせず、CUESや国際世論を活用して明確な「レッドライン」を引く必要があると警告
日本が取り得る経済制裁カード—半導体とレアアース対抗
・日本は現在、軍事力では核抑止を持たないものの、依然として強大な経済力を有していると指摘
・中国のハイテク産業は、日本からの装置・素材・部品供給なしには成り立たない分野が多く、とりわけ半導体関連では日本依存が大きいと説明
・過去に中国が対日圧力としてレアアース輸出を絞った例を挙げ、「そちらがレアアースを止めるなら、日本も半導体製造に不可欠な材料や装置を止める用意がある」と示唆すべきだと主張
・こうした経済制裁・輸出規制カードを背景に、「日本は黙って殴られるだけの国ではない」と中国に認識させることが、むしろ長期的な抑止と平和の維持に繋がると訴える
結論:高市首相・政府・外務省へのメッセージ
・長年の「日中友好」一辺倒の空気の中で、政治家も官僚も「中国に逆らってはいけない」という意識に囚われ、本来取るべき対応を見失っていると総括
・まずは金杉大使の交代など人事面からチャイナスクール的発想を是正し、言うべきことは言う主張型外交へ舵を切るべきだと提言
・同時に、CUES緊急開催要求や対中経済制裁カードの検討など、具体的なアクションを積み重ねることで、中国に「日本を侮ってはならない」と一目置かせることが必要と強調
・高市首相をはじめとする日本の指導層は、「どうすれば相手に一目置かせられるか」という視点から安全保障・外交戦略を再構築してほしいと呼びかけて締めくくる
キーワード:レーダー照射, 火器管制レーダー, 捜索レーダー, NOTAM, 小泉防衛大臣, 中国語なまり英語, 金杉大使, チャイナスクール, フェニックステレビ, フィナンシャル・タイムズ, ロイター, 米国務省, 日米同盟, トランプ前大統領, 高市首相, CUES, TU-95, 共同飛行, 経済制裁, 半導体, レアアース, 抑止
