【要約】CUES違反のレーダー照射に“仰天”弁解の中国【門田隆将チャンネル#0058】

【要約】CUES違反のレーダー照射に“仰天”弁解の中国【門田隆将チャンネル#0058】
『門田隆将チャンネル」は、作家・ジャーナリストの門田隆将さんが日本の政治経済世界情勢などの側面や裏側をジャーナリストの視点で切り込むYouTubeチャンネルです。

『門田隆将チャンネル#0058』を要約

中国空母「遼寧」発艦J-15による2度のレーダー照射事案(12月6日)

・12月6日16時32分〜35分、中国海軍空母「遼寧」から発艦したJ-15戦闘機が、沖縄本島南東の公海上空で警戒監視中の航空自衛隊F-15戦闘機に射撃管制レーダーを断続的に照射
・約2時間後の18時37分〜19時08分にも、別のF-15に対して、同じく「遼寧」発艦のJ-15がレーダー照射を繰り返すという第2の事案が発生
・いずれも公海上空での出来事であり、日本側は対空監視・警戒行動の一環として飛行していた

レーダー照射=「ロックオン」という戦闘直前行為

・問題のレーダー照射は、ミサイル発射前提の射撃管制レーダーによる「ロックオン」を意味する
・実戦では「これから撃つ」という意思表示に相当し、誤射・偶発的衝突が起これば一気に戦闘状態へ発展しかねない極めて危険な挑発行為
・同盟国間でも通常は厳に慎まれる行為であり、周辺国関係を一気に悪化させる火種となる

2014年合意の「海上衝突回避規範(CUES)」と中国の違

・2014年4月12日、中国を含む21か国が「海上衝突回避規範(CUES)」に合意
・CUESは、艦艇・航空機同士が海上・上空で接触・衝突・撃ち合いに至る事態を避けるための行動規範
・弾の撃ち合いだけでなく、相手を威嚇・挑発するレーダー照射も「やってはならない行為」として明確に禁止対象に含まれている
・今回のレーダー照射は、このCUESの趣旨と具体的規定の双方に反する行為であり、中国は自ら合意した国際ルールを踏みにじった形

中国国防省報道官の「事実と異なる」声明の中身

・中国側は当初「事実と異なる」とコメントし、いかにもレーダー照射自体を否定したかのような印象を与えた
・しかし声明の中身を見ると、「訓練海域・空域は事前に公表していた」「自衛隊機が何度も接近し妨害行為を行った」「正常な訓練に深刻な影響を与えた」と日本側を非難
・そのうえで「日本は中傷をやめ、現場での行動を厳しく抑えるよう要求する」と主張し、あたかも自衛隊の“妨害”に対抗する形でレーダー照射を行ったかのように正当化
・つまり「照射していない」とは言っておらず、「日本が邪魔したから照射した」と述べることで、実質的にCUES違反を自白している構図になっている

CUESの趣旨から見た中国主張の問題点

・CUESは、どちらが挑発したかに関わらず「エスカレーションに至る行為を避ける」ことを目的とする合意
・たとえ相手が“邪魔”をしたと一方的に感じても、レーダー照射という軍事的エスカレーション行為は認められていない
・「妨害されたから照射した」という中国の主張は、CUESの根本理念を踏みにじる論理であり、国際的に通用しない自己正当化にすぎない

日本政府の対応:防衛省発表と首相・外務省の抗議

・防衛大臣は夜間に緊急会見を行い、事案の概要とレーダー照射の危険性を公表
・高一首相は石川県輪島市での滞在中にコメントを発表し、「航空機の安全な飛行に必要な範囲を超える危険な行為」「極めて遺憾」と厳しく批判
・中国側に対して強く抗議するとともに、再発防止を厳重に申し入れたことを明らかにした
・外務省は駐日中国大使(5公中日大使)を外務省に呼び出し、「危険な行為であり、断じて容認できない」として強く抗議

反日世論の高揚と「英雄化」の危険

・中国国内では、これまで日本人が被害者となった事件の際、SNS上で日本人加害行為を「英雄視」する空気が繰り返し見られてきた
・例として、10歳の少年・小山功くん殺害事件や、日本人母子が襲われた際に中国人添乗員が身を挺して守り命を落とした事件などが挙げられ、「日本人が傷つく・死ぬ」出来事のたびにSNSが“お祭り状態”になると指摘
・今回もし仮にJ-15がミサイルを発射し、F-15を撃墜するような事態になっていれば、中国国内では「敵機を撃墜した英雄的行為」として称賛されていた可能性が高い
・そうなれば、日中関係は軍事衝突寸前どころか、一気に取り返しのつかない対立局面に入っていたと懸念される

共同通信など国内メディアへの批判

・共同通信の記事では、「日中関係は台湾有事に関する高一首相の発言で急速に悪化している」との書きぶりが見られる
・門田氏は、今回の緊張激化の原因は中国側の一方的・違法な解釈と行動にあり、「高一発言のせい」にする国内メディアの論調は問題だと批判
・中国は「台湾侵攻の際、日本が全面参戦する」と誤解し、その誤解に基づいて日本を攻撃対象として扱っている側面があるにもかかわらず、国内メディアは中国よりも自国首相を非難する構図
・こうした「親中・反高一」的な報道姿勢は、国民世論と乖離しており、すでに多くの国民はメディア報道の偏向に気付き始めていると指摘

高一首相とオールドメディアの対立構図

・高一首相は、59歳以下の現役世代の7〜8割から支持を集める「保守現実派」のリーダーと位置づけられている
・一方で、共同通信をはじめとするオールドメディアは、「高一憎し」で動き、中国の肩を持ってでも高一政権を引きずり下ろしたいかのような論調を展開
・門田氏は、どれほどメディアが高一首相を悪者に仕立てても、今回のCUES違反とレーダー照射の責任が中国側にあることは明白だと強調
・今後、こうした報道姿勢がどれほど国民の支持を失っていくのかを、注意深く見ていくべきと述べる

提言①:国際機関での徹底追及と「事件の国際化」

・第一段階として、大使呼び出し・政府間抗議という対応は評価しつつ、次の段階として「国際機関への持ち込み」が不可欠と提言
・国連の場や、CUES関連の多国間枠組みなど、あらゆる国際フォーラムで今回のレーダー照射問題を取り上げ、中国の危険な行為を記録に残すべきだと主張
・国連大使をはじめ、日本側の外交ルートをフル動員し、「中国は自ら合意したCUESに違反している」という事実を世界に訴える必要性を強調
・「ロックオン=撃たれていれば終わり」の行為を国際的に問題視し、同様の事態を二度と起こさせないための圧力を強めるべきだとする

提言②:再発時には制裁も視野に、段階的な対中抑止

・今回の第1回目は「呼び出し+抗議+国際機関での追及」で対応しつつ、将来の再発に備えて「段階的な制裁オプション」を準備すべきと提案
・もし同様のレーダー照射が2度、3度と繰り返されるならば、対中制裁や日本企業の一斉撤退など、実体的な経済圧力も視野に入れるべきと主張
・門田氏は、中国経済は既に危機的状況であり、日本企業の撤退や経済制裁は中国側にとって大打撃になると指摘
・日本側が毅然とした対応と制裁カードを準備しておくことで、中国に「日本を舐めると痛い目を見る」というメッセージを送り、逆に武力衝突を回避する抑止力になりうると論じる

高一首相への期待:現実的・融和的だが「毅然とした」対中姿勢を

・門田氏は、高一首相を「非常に現実的で、基本的には融和志向の政治家」と評価し、無用に事を荒立てるタイプではないと説明
・だからこそ、今回のように明白な国際ルール違反には、冷静かつ毅然とした対応で臨み、国際世論を味方につけながら中国の行動を抑止してほしいと期待を表明
・今後、日本政府は一つ一つの挑発行為に対し、必ず抗議し、国際社会で問題提起するという姿勢を徹底することが重要と結論づける


キーワード:レーダー照射, ロックオン, J-15, F-15, 空母遼寧, 沖縄南東空域, 公海上空, CUES(海上衝突回避規範), 国際ルール違反, 中国国防省報道官, 妨害行為主張, 高一首相, 防衛省, 大使呼び出し, 反日世論, SNS, 共同通信, 親中報道, オールドメディア, 保守現実派, 国際機関, 国連, 経済制裁, 日本企業撤退, 対中抑止