【要約】中国レーダー照射に日本がとるべき対応【髙橋洋一チャンネル#12/8緊急ライブ!】

INDEX(目次)
中国レーダー照射に日本がとるべき対応
『高橋洋一チャンネル#12/8緊急ライブ!』の内容を要約
中国機レーダー照射事件の経緯
・中国本土の基地から離陸した中国軍機が、日本側防空識別圏(ADIZ)に接近したため、自衛隊機がスクランブル発進して対応
・自衛隊機が接近・監視する中で、中国軍機が自衛隊機に対しレーダー照射(ロックオン)を行ったとされる
・中国側は「自分たちの訓練海域に自衛隊機が入ってきて鬱陶しかった」と主張し、行為を正当化しようとしているが、レーダー照射そのものは否定していない
・髙橋氏は、この種の行動を「末端現場の暴走」とする見方を否定し、中国軍は共産党直轄の軍隊である以上、上層部の意図なしに危険行動は起こりえないと指摘
レーダーの種類と「ロックオン」の軍事的意味
・レーダーには周囲を広く見渡す「探索用」と、目標を狙って攻撃に直結させる「射撃管制用(ロックオン)」の2種類の機能がある
・航空機搭載レーダーの場合、ハードとしては一つでも、ロックオンモードに切り替えるのは明確な意思を伴う操作だと説明
・ロックオンは「引き金に指をかける」のと同じで、実際にミサイルを撃つ一歩手前の軍事行動と受け止められるのが国際常識
・そのため、相手国は「撃たれる前に撃つ」自己防衛行動を合理化し得るほど危険な行為であり、「単なる監視レーダー照射」とは次元が違うと強調
国際規範 CUES と中国の「自己否定」
・2014年に採択された CUES(Code for Unplanned Encounters at Sea:海上不慮の遭遇時の行動規範)は、アジア太平洋21カ国(日本・米国・中国など)が合意した準ルール
・CUES では、射撃管制レーダー(ファイア・コントロール・レーダー)による照射は極めて危険な行為として、事実上「やってはならない」と明記されていると説明
・この CUES は、習近平国家主席が主導した形で中国も積極的に関与した枠組みであり、「中国自身が作った約束」でもある
・にもかかわらず、今回その当事者である中国が、自衛隊機へのロックオンという形で規範を踏みにじったことになると髙橋氏は批判
・日本が CUES 違反を大きく国際社会に訴えれば訴えるほど、「中国は自ら主導した国際ルールすら守らない国」という評判が広がり、中国の国際的孤立を深める効果があると指摘
国際社会の反応と中国の孤立化
・オーストラリアの国防相は、日本側の説明を把握した上で、即座に「けしからん」と批判的な立場を示したと紹介
・ドイツを含め、他の欧州諸国からも懸念の声が上がっており、西側諸国の間では中国行動への不信感が一層強まっている
・髙橋氏は、サンフランシスコ平和条約を否定するような中国側の主張や、尖閣問題を「戦勝国」論理で正当化しようとする姿勢と合わせて見れば、中国は国際秩序全体を揺るがすプレイヤーとして疑われていると解説
・こうした中でのレーダー照射は、中国が自ら振り上げた拳を下ろせなくなり、国際常識からどんどん乖離していく「自滅的な行動パターン」の一環だと論評
日中ホットラインと軍同士の連絡枠組みの実態
・日中間には、自衛隊と中国軍(人民解放軍)との間で、偶発的な衝突を避けるためのホットラインや連絡メカニズムが設置されている
・しかし、今回のような重大事案でも、日本側がホットラインに連絡しても「電話に出ない」「繋がらない」といった機能不全が続いていると指摘
・日本側は本来、こうした回線を活用して危機管理を行う意図を持っているが、中国側が応答せず、意図的に運用を拒んでいる可能性が高いと分析
・髙橋氏は、日本としては「ホットラインが機能していない」「中国側が応じない」という事実自体を国際社会に訴える材料にすべきだと主張
中国の権力構造と「外交ルート」の限界
・日本政府は今回、中国大使館の大使、防衛駐在武官を呼び出し、外務省ルートから正式に抗議したと説明
・しかし、中国の権力構造は「共産党 > 人民解放軍 > 憲法 > 政府(外交部)」という順序であり、外交部は人民解放軍より完全に下位の位置づけ
・このため、日本の外務省が中国外交部にいくら抗議しても、その声が人民解放軍の意思決定レベルまで届かない構造的問題があると解説
・有効なのは、共産党・軍上層部と直接繋がる軍事ホットラインや首脳間の直通ラインだが、中国側はあえてこれを機能させたがらないと見られる
習近平関与の可能性と体制の性格
・人民解放軍は「共産党の軍」であり、もし現場指揮官が勝手に危険行動を繰り返せば、最終的には習近平自身の権力基盤が脅かされる
・したがって、「現場が勝手にやった」という説明は説得力がなく、実際には習近平を含む上層部の方針に沿った行動と見るべきだと髙橋氏は指摘
・その一方で、中国は自ら主導した CUES などの国際規範を次々と踏みにじり、西側世界からの信頼を失っている
・結果として、中国が国際社会で頼れるパートナーはロシアくらいしか残らないような「帝国的・孤立志向」の体制になっていると評している
韓国レーダー照射事件との比較
・過去に韓国軍が海自哨戒機にレーダー照射した事件についても言及し、「性質がかなり違う」と位置づけ
・韓国の事案は、北朝鮮から来た小さな船を韓国側が密かに救助している場面を、たまたま海自が発見してしまい、「見られたくない現場」が露見したケースと説明
・現場での、韓国海軍・海洋警察と北朝鮮船の「怪しい関係」を隠そうとして、慌ててレーダー照射という強い行動に出た可能性が高いと分析
・文在寅政権下の「北朝鮮寄り姿勢」とも関係しているが、それでも構図としては「現場レベルの迷走」に近く、中国の体系的・帝国的挑発とはレベルが違うと述べる
今後の中国のエスカレーションと日本の対応
・髙橋氏は、中国がここまで国際規範から外れた行動を重ねている以上、今後もさらに奇妙な理屈や行動でエスカレートさせるリスクがあると警告
・「振り下ろした拳の下ろし方が分からなくなっている」「支離滅裂な状態に入りつつある」と表現し、中国指導部が冷静な自己制御を失いかねない状況を懸念
・こうした状態では、あえて日本側は一気にヒートアップするのではなく、中国が自壊的な行動を続ければ続けるほど国際的に孤立する構図を冷静に観察しつつ、要所で強く指摘する「チキンプレイ」も有効だと示唆
・同時に、ホットラインなど安全保障の実務的枠組みについて「機能させるべきだ」と粘り強く訴え続ける必要があるとした
日本国内の論調への違和感
・日本の一部コメンテーターやメディアは、「中国は大国だから日本は冷静に」「あまり刺激しない方が良い」といった従来型の自制論を繰り返していると指摘
・今回のように、国際規範違反が明確で、同盟国・友好国も一斉に中国を批判している局面で、国内の「サヨク」や自称リベラル勢力がほとんど沈黙していることに違和感を表明
・髙橋氏は、「国際基準から明確に外れている時ほど、日本は堂々と物を言うべきなのに、肝心な時に声を上げない」と批判的に論じている
・誰がこういう時に発信し、誰が黙るのかをよく見ておくべきだと視聴者に注意を促した
日本が取るべき発信戦略
・小泉進次郎氏が、防衛相とのやり取りを踏まえて約6〜7時間で記者会見を開き、比較的早い段階で日本側の立場を発信したことは「覚醒している」と評価
・日本政府としては、外交ルートでの抗議にとどまらず、CUES違反やホットライン不作動の事実を国際社会に具体的に示すことが重要だと提言
・中国の行為に対しては、「日本だけが怒っている」のではなく、豪州・欧州・米国など多くの国が日本側の立場を支持しうる局面であり、「味方が多い時にこそ、しっかり発信すべき」と強調
・髙橋氏は、こうした情報発信が積み重なれば、中国は自らの行動によってますます国際的に追い詰められていくと展望した
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