【要約】“暴発寸前”反日デモもできない追い込まれた中国事情【門田隆将チャンネル#0059】

INDEX(目次)
“暴発寸前”反日デモもできない追い込まれた中国事情
『門田隆将チャンネル#0059』を要約
レーダー照射問題と中国大使のX発信
・中国側は、駐日中国大使がXに投稿し「日本の自衛隊機が中国海軍空母部隊の訓練を妨害した」と主張
・投稿では「私が日本外務省の船越事務次官を呼びつけ、厳正な交渉と強い抗議を行った」と記し、あたかも中国側が“呼び出した側”であるかのように演出
・日本側の実態は、レーダー照射という重大な国際法違反行為を受けて中国大使を呼び出し抗議したものであり、中国の発信は構図を完全にひっくり返したもの
・中国側文書では「自衛隊機が複数回中国海軍の訓練空域に接近して妨害した」「中国側の正常な訓練に深刻な影響を与えた」「飛行安全を著しく危険にさらした」といった非難が並ぶ
・さらに「日本側が事実と異なる情報を公表し、世論を煽り、誘導している」「極めて無責任」と断じ、日本に対し“誹謗中傷の停止”や“行動の自制”“再発防止”などを一方的に要求
・しかし、この声明の中には問題の核心である「レーダー照射」「ロックオン」についての記述が一言もない
「核心には触れない」中国流の情報操作
・門田氏は、中国のやり方の特徴として「自らに非がある核心部分だけは絶対に書かない・認めない」ことを指摘
・今回も、自衛隊機へのレーダー照射という国際的に重大な挑発行為には一切触れず、日本による“訓練妨害”と“虚偽情報の発信”のみに論点をすり替えている
・同様の構図は、切権総領事(中国総領事)が「高市首相の汚い首を切ってやる」などと暴言を吐いた問題でも見られたと説明
・背景には、日本の安全保障法制(集団的自衛権の限定的行使)により、米軍が台湾・日本防衛で血を流す事態は日本の「存立危機事態」となり得る、との高市首相の答弁がある
・この高市答弁を、立憲民主党の岡田克也氏が国会で執拗に追及し、その動きと連動する形で切権総領事が問題発言をSNSに投稿して大問題になった
・しかし中国側は、この総領事の暴言や責任ある立場にふさわしくない行為を国内向けにはほとんど伝えていない
・今回も同じく、レーダー照射の事実は伏せられ、日本が“戦争を仕掛けているように見える”情報だけを中国国民に与えていると批判
中国の「一人相撲」的エスカレーション
・門田氏は、ここ1か月ほどの中国の対日行動を「中国の一人相撲」と表現し、エスカレーションの段階を整理
・第1段階が、切権総領事による「汚い首を切ってやる」発言という、日本首相への露骨な人格攻撃
・第2段階が、日本の処理水放出などを口実とした「日本産水産物の全面輸入停止」
・第3段階が、日本への団体旅行・個人旅行の“自粛”要請、いわば観光カードの発動
・第4段階が、日本人アーティストの中国公演中止・コンサート会場の電源を落として強制終了させるなど、文化・交流面での締め付け
・そして第5段階として、ついに自衛隊機へのレーダー照射=ロックオンという軍事的威嚇行為に踏み込み、「あとは発射ボタンを押すだけ」という危険水域に到達したと指摘
・中国側の発表にはこれらの“加害行為”が一切出てこないため、中国国民には「日本が一方的に絡んでくる」「日本が戦争を起こそうとしている」という印象だけが残る構図
中国国内の危機と「反日デモが起きない理由」
・門田氏は「なぜ今回は半日デモ(反日デモ)が全く起こらないのか」を、中国の内政状況から読み解く
・現在の中国は経済破綻に近い状態で、農村戸籍と都市戸籍の二重構造のもと、膨大な数の農村出身者が都市に出稼ぎに来ているが、その正確な数すら把握できないほど
・景気悪化により出稼ぎ労働者の大量失業が生じ、若年層の失業率も実質40%超との試算が北京大学研究者らからも出ていると紹介
・大学を卒業しても仕事がなく、そのまま失業者となる若者が多数を占める状況だと強調
・不動産バブルも崩壊し、“地方融資平台(有資平)”と呼ばれる地方政府の借金が膨れ上がり、総額は約2900兆円規模とも言われる
・一部推計では「兆を超える単位」が飛び交うほどで、日本のバブル期の問題など比べ物にならないレベルの危機であるとする
・こうした中で人民の不満は爆発寸前であり、政権は国内世論を外に向けたいが、反日デモを許可すればそれが自分たちへの反政府デモに転化する危険が非常に大きい
・そのため、2012年の尖閣国有化時のような、当局主導の大規模反日デモを今回は敢えて“封印”していると分析
2012年尖閣反日デモとの対比
・2012年、野田佳彦政権が東京都による尖閣購入の動きを押さえ込む形で“国有化”に踏み切った際、中国各地で大規模な反日デモが発生
・そのときのデモは、自発的に起きたものではなく、当局が「今からデモが行くから準備を」と日本大使館側に事前通告するなど“官製デモ”だったと証言
・当局からは「このルートをジグザグに行くから、その間にバリケードなどの準備を」「ここからしか投石させない」「重いものは建物に当たらないようにさせる」「卵がギリギリ当たるくらいにとどめる」など、細かな“演出指示”があったと紹介
・つまり、反日デモは中国当局が「やらせる」ものであり、完全に統制されていた
・しかし、今回の一連の対日強硬策(11月7日からの動き)に対しては、1か月以上たっても大規模な反日デモが起こされていない
・これは、政権が国民の不満の深刻さを理解しており、反日デモを解禁すると矛先が共産党政権に向かう危険を恐れているからだと説明
台湾有事=「第三次世界大戦」シナリオと米国の戦略転換
・中国が台湾侵攻に踏み出せば、それは「第三次世界大戦の勃発」に直結すると門田氏は再三強調
・ロシア・北朝鮮・イランが中国と連動して動き、日米台と全面的に衝突する構図になるとの見立てが、防衛省・自衛隊関係者への取材でも“ほぼ共通認識”だと述べる
・台湾側も死に物狂いで反撃し、巡航ミサイル「雄昇」などが上海や長江デルタ一帯を攻撃する可能性があるため、地域全体が壊滅的な被害を受ける危険がある
・こうした危機感のもと、米国は「曖昧戦略(strategic ambiguity)」からの脱却を進めていると指摘
・国家安全保障戦略(NSS)では「台湾を奪い取る試みを阻止するため、米国と同盟国の能力を強化する」と明記
・さらに「台湾海峡の現状の一方的変更を支持しない」と書き込み、従来の“曖昧さ”をかなり捨てた文言になっていると解説
・台湾との関係については「台湾保障実施法」にトランプ大統領が署名し、あらゆるチャンネルを使った交流、国際機関への参加支援、防衛装備の供与などを制度的に後押し
・米国にとって、台湾侵攻阻止は“第三次世界大戦を防ぐための死活的課題”であり、今まさに必死の対応が続いていると強調
日本国内の左派・親中勢力とメディアへの強い批判
・こうした国際的危機の中で、日本国内の左翼勢力・親中派・一部メディアは、結果として「中国の台湾侵攻を後押しするような行動」を取っていると厳しく批判
・彼ら自身は必ずしも「台湾侵攻してほしい」と思っているわけではないが、行動の帰結として侵攻を誘発する方向に働いていると指摘
・具体的には、日本人アーティストの中国公演中止も、水産物輸入停止も、中国人観光客の渡航自粛も、今回のレーダー照射問題さえも「高市首相(高一)が悪いからだ」とする論調
・共同通信が「レーダー照射の背景には高市首相の発言が…」といった論調の記事を書いていることも例に挙げ、「日本が一枚岩でない」と中国に知らせる危険なメッセージになっていると警鐘
・歴史的に見ても、こうした“国内の分裂”は外部勢力の侵攻や戦争の引き金となりやすく、「第三次世界大戦の方向に歴史を動かしている」と強い怒りを示す
・門田氏は、ある地上波テレビ局のプロデューサークラスと議論した際、台湾有事や米国の戦略転換への理解がほとんどなく、「お勉強不足による平和ボケ症候群」だと感じたと述べる
・関西の読売テレビ「そこまで言って委員会」や朝日放送「正義のミカタ」など一部番組は奮闘しているが、多くの地上波番組は「高市政権を引きずり下ろす」方向に番組構成が組まれていると批判
戦争阻止のため「一枚岩」になるべき日本
・門田氏は、米国が曖昧戦略を捨ててまで第三次世界大戦を防ごうとしている局面で、日本国内のオールドメディアや左派勢力がそれを“突き崩す”ような言動を繰り返していることに強い危機感を表明
・本来、戦争を阻止し平和を守るためには、日本社会が「台湾有事=日本有事」であるとの認識を共有し、対外抑止のために“一枚岩”であることを示す必要があると主張
・しかし実際には、政権批判や国内政局を優先し、対中抑止を弱めるような報道・言論が横行しており、中国から見れば「ここに付け入る隙がある」と判断されかねない状況
・門田氏は「左翼オールドメディアの皆さん、胸に手を当ててよく考えてほしい」と呼びかけ、夜遅い収録になった理由も「どうしてもこのメッセージを伝えたかったからだ」と語って締めくくる
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