【要約】張り子の虎の中国経済!盛りに盛ってもマイナス成長【髙橋洋一チャンネル#1417】

INDEX(目次)
中国経済マイナス成長
『高橋洋一チャンネル#1417』の内容を要約
日経記事:中国の固定資産投資が「通年初のマイナス」へ
・日経の報道として、中国の成長が引き続き投資頼みである一方、その中核である固定資産投資が通年ベースで初めてマイナスに転落する可能性が示された
・中国統計局が15日に発表した1〜11月の固定資産投資は前年同期比2.6%減で、2025年は通年でマイナスになる見通しとされる
・記事の説明では、財政難に陥る地方政府の投資縮小、中央政府による過剰投資抑制の指示が影響要因として挙げられている
・話者の見立てでは、表向きは「中央・地方政府の投資縮小」が中心に書かれているものの、実態としては民間投資も相当悪化している可能性が高い
・固定資産投資は大枠として政府投資と民間投資に分かれるが、中国の場合は不動産・インフラ等に投資が集中しやすく、景気の振れ幅が大きくなりやすい構造だと整理される
・(含意)投資が落ちる局面で、統計上の減少以上に企業活動・雇用・金融に連鎖しやすく、「投資主導モデルの限界」が表面化している可能性が示唆される
キーワード:固定資産投資,中国統計局,2.6%減,2025年,地方政府,過剰投資,民間投資,投資依存
不動産不況の深刻化:供給過剰と「壊す経済」の異常さ
・投資不振の中心に、不動産不況(不動産不景気)が強烈に存在すると指摘される
・日本で言えばバブル崩壊後の不良債権問題に近い構図で、建設・開発に投じた資金が回収できず、金融システムに負担として残り続ける
・発表されない・見えにくい形で、建てた住宅や高層ビルを「どんどん壊す」ような動きまで出ている、という話者の問題意識が示される
・壊す理由は「供給過剰を放置すると価格調整がつかず、市場が成立しない」ためで、需給の歪みが相当に大きいことを示す例として語られる
・しかし、建てたものを壊す=投じた資金が回収不能になりやすく、結果として債権側(銀行・投資家・地方政府の資金)に損失が残り、不良債権化が進む
キーワード:不動産不況,供給過剰,回収不能,不良債権問題,建設投資,金融システム,価格調整,住宅
「三つ巴の投資失敗」:中央政府・地方政府・民間が同時に傷む
・中国の深刻さは、投資の失敗が政府(中央)・地方政府・民間のすべてで同時進行している点にある、という比較がなされる
・日本の不良債権問題期は主に民間が投資を膨らませた側面が強く、政府投資の比重は相対的に限定的だった、という対比で説明される
・日本でも例外的に、地方と民間が共同で進めた第三セクターは失敗例が多かったが、それでも「国全体で中央・地方・民間が同時に投資で失敗」という構図ではなかった
・中国は投資主体が全方向で傷んでいるため、景気刺激や不良債権処理をどこが担うかが難しくなり、危機対応の選択肢が狭くなる、という含意が示される
キーワード:中央政府,地方政府,民間投資,第三セクター,投資失敗,同時進行,景気対策,不良債権
破綻処理が進まず、投資が止まる:制度不備と政治要因
・投資の失敗は通常、不良債権として「一気に処理」しないと信用回復が難しいが、中国ではそれが進みにくいと語られる
・例として、恒大集団(広大集団)のように債務問題が長期化しても、明確な破綻・整理が進まず、先送りが続くイメージが示される
・背景として、政治的配慮(習近平の「顔色」)が働き、法的整理を淡々と進める仕組みが弱い可能性が示唆される
・日本や多くの国では、債務超過が明確になれば裁判所が関与して破綻手続き(破産・更生等)が進みやすいが、中国はその「当たり前」が機能しにくい、という比較
・結果として「どこが破綻するか分からない」不透明感が増し、投資家・企業は疑心暗鬼になり、投資がさらに出なくなる悪循環に入る
キーワード:恒大集団,破綻処理,裁判所,政治要因,習近平,先送り,不透明感,信用不安
「公式統計に出てきた」ことの意味:隠蔽の限界と実態の深刻さ
・これまで実態は相当悪かったとしても、公式統計には出しにくかった可能性がある、という前提で語られる
・今回、固定資産投資のマイナスが公式数字として出てきたのは、「隠しきれないレベル」まで悪化した兆候ではないか、という見立て
・さらに、話者は「この数字も相当“持っている”(悪さを薄めている)可能性がある」と述べ、実態は統計よりも悪いのではないかと推測する
・不動産会社の経営悪化、取引の停滞、投資縮小が重なるなら、投資統計のマイナスはむしろ自然で、経済状況は「とんでもない」水準にある可能性がある、という評価
キーワード:公式統計,隠蔽,固定資産投資マイナス,統計操作,不動産取引停滞,景気悪化,実態乖離
投資依存経済の危うさ:加速度原理と「逆加速度」で急落する
・中国経済はもともと投資の割合が大きい一方、消費の割合が小さいと説明される
・先進国では消費が6〜7割、投資は2割程度が一般的だが、中国は投資が4〜5割規模になり、消費が4割程度にとどまる、というイメージが示される
・投資は経済学でいう加速度原理が働き、少し投資が伸びるだけでも投資が投資を呼んで景気を押し上げやすい
・逆に、投資がマイナスに転じると「逆加速度原理」で落ち込みが急激になり、景気後退が深くなりやすい
・消費は比較的安定的だが、投資は振れ幅が大きいため、「投資依存モデル」は好況期は伸びるが不況期は崩れ方が速い、という整理
キーワード:投資依存,消費比率,加速度原理,逆加速度原理,景気後退,マクロ構造,成長モデル
不良債権「2000兆円」級の観測:IMFとの軋轢と実態把握の困難
・不良債権の規模について「2000兆円」級という観測が語られ、日本の不良債権問題期(約200兆円)と比べて10倍規模という衝撃として提示される
・IMFが資産査定などの形で数字を示そうとしたところ、中国が協議を拒むような動きがあった、という文脈で「外部が実態に迫れない」問題が語られる
・不良債権は政府も企業も隠しやすく、日本も当時は隠していたため分かりにくかったが、共産体制下ではさらに不透明になりやすい、という指摘
・結果として、投資家は「どこが腐っているか分からない」状態のままリスクを取れず、投資が止まり、景気を一段と押し下げる可能性が示唆される
キーワード:不良債権,2000兆円,IMF,資産査定,協議拒否,実態把握,信用収縮,金融不安
対外カードの制約:反日・経済制裁が「打てない」状況と波及
・中国が日本に対して輸入禁止などの経済制裁を行うと、その反動が自国に返ってくるため、景気悪化局面では取りづらいという見立て
・また、国内に不満が蓄積している局面で反日行動を煽ると、反政府運動に転化して統制不能(例として「天安門のように」)になるリスクがあるため、政権は強く警戒する
・尖閣問題の過去局面では景気が相対的に良く、統制できるという感覚があったが、今は経済が悪く「少しの誤算」で制御不能になりかねない、という比較
・このため、中国政府はコントロールできる範囲でしか動かず、「あまり派手に反日をやらない」と見る向きがある、という説明
キーワード:経済制裁,反日,統制不能,国内不満,尖閣,政権リスク,対外強硬策
「実態GDP」論:夜間光データ等から発表値の4割程度との推計
・中国はGDPを大きく見せたい動機が強く、統計は操作されている可能性が高いという認識が示される
・研究例として、人工衛星で観測する夜間光(ナイトライト)は経済活動と相関があり、GDPが大きい国ほど夜間光が明るくなる傾向がある
・その夜間光が「発表GDPほど明るくない」ことから、推計として実態GDPが発表の4割程度ではないか、という研究が紹介される
・話者自身の感覚(「実力は半分以下では」)とも大きくズレず、「見せかけの規模」と「実態」の乖離がありうる、という結論に接続される
キーワード:GDP,統計操作,夜間光,ナイトライト,実態推計,発表値乖離,中国経済
