【要約】こどもNISAは金融機関の撒き餌だ!【髙橋洋一チャンネル#1417】

【要約】こどもNISAは金融機関の撒き餌だ!【髙橋洋一チャンネル#1417】
『髙橋洋一チャンネル」は、数量政策学者で嘉悦大学教授の髙橋洋一さんが視聴者の質問に答える形で、政治経済世界情勢など現在進行中の問題について理路整然と解説してくれるYouTubeチャンネルです。

  こどもNISA

『高橋洋一チャンネル#1417』の内容を要約

「子どもNISA(子供兄さん)」の制度イメージと前提

・話題の「子どもNISA(子供兄さん)」は、対象が18歳未満
・年間の投資枠60万円で、月あたりに直すと5万円程度の想定
・所得税の非課税保有枠600万円で、長期で積み上げると到達し得る設計(例:10年程度の継続を想定)
・ただし「18歳未満の子ども自身が毎月5万円を投資できるケースは現実的に多くない」との問題提起が前提に置かれている

「親が使う制度」になりやすいという根本的な疑義

・制度の建付け上は子ども名義でも、実務的には「親が資金を出し、親が運用判断をする」形になりやすい
・その結果、「子どものため」というより、親側の非課税枠が拡張されたのと同じではないか、という批判が出やすい
・「金融教育」を目的に掲げても、月5万円を投資しながら教育する家庭像がどれほど一般的か、という違和感が示されている
・結局は、資金余力のある層ほど使いこなしやすく、「富裕層優遇」の色合いが強くなる、という見立て

旧「ジュニアNISA」との比較(本質は大差ない)

・過去にあったジュニアNISA(~2023年)は、年齢要件が20歳未満、年間80万円非課税枠400万円
・不評の要因として「一定期間、すぐ引き出せない(ロックアップ)」点が大きかった、という整理
・今回の子どもNISAは、そこ(引き出し制限の扱い)が違う程度で、制度の骨格は「大きく変わっていない」との評価
・名称や細部が変わっても、「親の資金で回しやすい」構造自体は残る、という指摘

「得か?」への回答:非課税メリットはあるが、規模は限定

・通常の金融投資では収益に約20%の課税(源泉徴収)があるが、非課税であればそこが免除される
・一方で、月5万円
・年60万円という投資額自体が小さく、税制メリットも「劇的に家計が変わる」ほどではない、という温度感
・「制度として“特”に見せるが、実態は限定的」というニュアンスで、「これはだ」との強い言い回しが使われている
・小口の入口商品として集客し、次の商品提案につなげる“導線”になりやすい、という含意

証券会社側のインセンティブと、商品販売の構造批判

・証券会社から見ると、小口口座は手間に比して収益性が低く、主戦場は預り資産が大きい顧客(大口)
・それでも小口を集めるのは、将来の大口化(資産増・継続取引)を“母集団”から拾い上げる狙いがある、という説明
・構造として「ギャンブルに似る」との比喩も出ており、勝ち残る(増やせる)層だけが厚遇され、そうでない層は離脱しやすい、という見立て
・対面営業で手数料が乗る形より、ネット証券自動運用など低コスト手段の方が合理的、という提案につながる

インフレ時代の資産防衛:NISAより「物価連動国債」を推す論点

・現金の預貯金や固定金利商品は、基本的にインフレに負けやすい(金利が上がっても追いつかない局面がある)
・インフレに連動して価値調整される商品として、実務的には物価連動国債(物国)が中核候補になる、という整理
・ところが国内では個人が使いやすい形での供給・流通が弱く、「財務省が物価連動国債をもっと発行すればよい」という主張
・さらに踏み込んで、米国のように財務当局が直接販売サイトを運営し、個人が買いやすい導線を作るのが最も簡単、という提案

政策の壁:金融業界の抵抗と、担当大臣への注文

物価連動国債を個人が直接買える仕組みが整うと、他の金融商品が相対的に売れにくくなり、金融業界は反対しやすい
・そのため現状は、業界要望が通りやすい制度(例:子どもNISAのような枠組み)が出てきやすい、という構図説明
・金融担当大臣(文脈上は片山さつき氏に言及)には、業界目線ではなく「国民目線」で、直接販売や物国拡充を打ち出すべきだ、という注文
・結論として、インフレ耐性の観点では、子どもNISAは“本筋”ではなく、より本質的な手当(物価連動国債の拡充・直接販売)が必要、という落としどころ


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