【要約】片山大臣の財務省意識改革!本当にザイム真理教から抜け出せるか?【髙橋洋一チャンネル#1389】

『髙橋洋一チャンネル」は、数量政策学者で嘉悦大学教授の髙橋洋一さんが視聴者の質問に答える形で、政治経済や世界情勢など現在進行中の問題について理路整然と解説してくれるYouTubeチャンネルです。
INDEX(目次)
財務省は本当に変わるのか?
『高橋洋一チャンネル』の内容を要約
片山財務相と「財務省意識改革進行中」
・新聞報道によると、財務省のパンフレットから「世界最高の債務残高比率」といった表現が削除され、「財務省意識改革進行中」と片山さつき財務相がアピールしている
・片山財務相は「責任ある積極財政」が省内に浸透しつつあり、職員が大臣とのやり取りをよく吸収し、姿勢が良い方向に変わってきていると評価している
・高橋氏は、資料のフレーズを見ると表現が確かに変わってきており、「こういうことができるのは片山さんしかいない」として全面的に応援する立場を示す
・一方で、末端の現場には依然として「抵抗勢力」も残っていると漏れ聞こえ、片山財務相がすべてを掌握して改革を進めるのは簡単ではないと見ている
・財務省内部では「財務真理教と言われないように」といった自虐的な言葉も出ているとされ、従来の財政均衡一辺倒からの意識転換が課題となっている
成長戦略17分野と政府投資の役割
・現政権は成長戦略としてITなどを含む「17分野」を掲げており、そこにどの程度、実際の予算と政策が伴うかが成果を左右すると指摘
・現時点では「民間投資を呼び込む」ためのメニューはちらほら出てきているが、肝心の政府による先行投資の全体像がまだはっきり見えないことを高橋氏は懸念している
・本来、この種の成長戦略では、政府がまず公共投資・研究開発投資などでリスクをとり、そのあとに民間投資がついてくる形が望ましいと説明
・具体例として、国土強靭化、防災インフラ、海洋資源・レアアース開発、エネルギー関連などを「政府が大きくぶち上げるべき分野」として挙げる
・ITや半導体分野についても、単に規制緩和や民間支援にとどまらず、政府自らの投資を前面に押し出すことでサプライチェーン全体を引き上げるべきだとしている
社会的割引率と公共投資拡大のカギ
・高橋氏は、公共事業の採択基準に使われる「社会的割引率」(政府内金利)が高すぎることが、投資を抑え込む最大の要因だと指摘
・現在も多くの省庁で社会的割引率4%が使われているが、長期金利が1.5%程度の状況で4%を使えば、将来の便益を過小評価してしまい、投資案件が通りにくくなると説明
・公共事業では、ベネフィット・オーバー・コスト(B/C)が1を超えるかどうかが採択基準になっており、割引率を低く設定すれば将来便益Bが大きくなり、採択される案件が増える構造だと解説
・この社会的割引率は本来、市場金利などを反映して毎年見直すべきものであり、現在のように高止まりさせる合理的理由はないと主張
・国交省だけでなく農水省など他省庁も同じ仕組みで公共事業を評価しているため、割引率の見直しは政府全体の投資拡大につながる「横展開可能な改革」だと位置付けている
インフラ更新・防災投資と南海トラフ地震リスク
・社会的割引率を適正な水準に引き下げれば、老朽化した下水道管などのインフラ更新事業はB/C比が大きくなり、リプレイス(交換)を進めやすくなると説明
・インフラをきちんと更新・整備すれば、その後に民間投資も乗ってくるため、公共投資が民間投資の呼び水になると強調
・耐震補強などの防災関連投資についても、社会的割引率を下げたうえで南海トラフ地震の発生確率を踏まえて計算すると、非常に大きな便益が見込めると指摘
・最近は南海トラフの発生確率の計算方法が見直され、異なるモデルでも高い発生確率が示されているため、「どう計算しても防災投資を増やした方が合理的」という結論になると述べる
・大規模地震発生時の経済損失は甚大であり、防災インフラへの前向きな公共投資によって、その損失を大きく減らせると訴えている
国債発行と査定改革への期待
・成長戦略会議などでは「国債は悪ではない」という議論も出始めており、成長投資のための国債発行は民間企業が設備投資のために借入するのと同じだと高橋氏は説明
・にもかかわらず、国債発行に対する漠然とした「悪者イメージ」と、高すぎる社会的割引率が組み合わさり、採算が取れるはずの公共投資をも妨げてきたと批判
・査定局側は、各省庁から上がってくる「社会的割引率4%で計算したB/C」の資料に対し、「なぜ4%なのか、現状の金利に合わせて1.5%で計算し直すべきだ」と合理的な突っ込みを入れることができると指摘
・査定は単に「予算を切る」作業ではなく、前提条件である社会的割引率を適正化することが重要であり、そこまで踏み込んだ改革が行われて初めて「本格的な意識改革」と言えると論じる
・高橋氏は、積極財政派の財務大臣は歴史上ほとんど例がなく、片山財務相が査定の現場や社会的割引率の見直しまで踏み込めば、財務省改革は一気に進む可能性があるとして大きな期待を寄せている
キーワード:財務省意識改革、片山さつき財務相、責任ある積極財政、世界最高の債務残高比率、社会的割引率、B/C比(ベネフィットオーバーコスト)、公共投資拡大、国土強靭化、インフラ更新、南海トラフ地震リスク、国債発行と成長戦略

