【要約】高市内閣の外国人政策が早くも動き出した【髙橋洋一チャンネル#1387】

『髙橋洋一チャンネル」は、数量政策学者で嘉悦大学教授の髙橋洋一さんが視聴者の質問に答える形で、政治経済や世界情勢など現在進行中の問題について理路整然と解説してくれるYouTubeチャンネルです。
INDEX(目次)
- 外国人政策のこれから
- 『高橋洋一チャンネル』の内容を要約
- 高市首相の外国人政策パッケージと「仕事の速さ」
- 法律改正の前に「運用見直し」でできることを総点検
- 具体例①:3か月で住民登録→国保加入の仕組み
- 具体例②:経営管理ビザが「取りやす過ぎる」問題
- 具体例③:運転免許など「法改正なしで変えられる」分野
- 「制度適正化」は細かいが数が多い地道な作業
- 外国人土地取得の規制とGATS(サービス貿易一般協定)の壁
- 重要土地利用規制法の「運用拡大」でできること
- 自衛隊施設や監視範囲の拡大イメージ
- オーバーツーリズムと「入国税・手数料」構想
- 高市首相と官僚の関係:素朴に「なぜできないのか」を聞くスタイル
- 安倍政権との違いと「菅+安倍」型のリーダーシップ
- 官僚にとっての負担と、国民にとっての「実感できる改革」
外国人政策のこれから
『高橋洋一チャンネル』の内容を要約
高市首相の外国人政策パッケージと「仕事の速さ」
・高市首相は、外国人政策の「制度適正化」をめぐり、来年1月を目標に具体策パッケージを出すよう閣僚会議に指示しており、立ち上がりから非常にスピーディーに動いている。
・首相の頭の中にはやりたい政策テーマが山ほど詰まっており、それを各閣僚・各部会に振り分けて一気に吐き出している印象で、「高市さんらしい」エネルギッシュな政権運営だと評されている。
・首相本人の中では、「これは誰に任せる」「これはどの省庁にやらせる」といった整理がきちんとできており、多数の案件を同時並行で回していると見られている。
法律改正の前に「運用見直し」でできることを総点検
・今回の「制度適正化」は、いきなり法律改正に踏み込むというより、まずは各省庁が行っている運用や通達を洗い直すところから入る方針だと解説されている。
・現行制度の中にも、以前から「おかしい」と指摘されてきた点が数多くあり、それを整理して改善するだけでも相当な効果が期待できると指摘。
・こうした運用見直しは、国会審議を伴う大がかりな法改正に比べて進めやすく、かつ国民からも変化が実感されやすい「目に見える改善」になり得ると評価される。
具体例①:3か月で住民登録→国保加入の仕組み
・最も象徴的な問題として挙げられているのが、在留3か月で住民登録され、そのまま国民健康保険に加入できてしまう仕組みである。
・短期滞在に近い在留のはずが、制度の抜け穴を突く形で公的医療保険にアクセスできるケースがあり、以前から「制度悪用の温床」として批判されてきた。
・こうした仕組みは、必ずしも法律そのものではなく、運用や解釈・自治体の実務に問題がある部分もあるため、「運用の引き締め」で是正可能な余地が大きいとされる。
具体例②:経営管理ビザが「取りやす過ぎる」問題
・もう一つの焦点は、経営管理ビザが比較的取りやすく、名ばかりの会社設立や形だけの事業で在留資格を得るケースがあるという指摘である。
・本来は一定規模の投資や実体ある経営が前提だが、実務上は要件が緩く運用されてきた部分もあり、これも制度適正化の対象になるとみられている。
・許認可の審査基準や、事後チェックの強化など、法改正なしでも見直せる部分が多く、「そこそこのことがかなりできる」と解説している。
具体例③:運転免許など「法改正なしで変えられる」分野
・少し前に話題になった外国人の運転免許に関する取り扱いも、実は法律改正なしで運用によって改善できる典型例だと指摘。
・同様に、「読めば読むほどおかしい箇所が見つかる」ような通達・ガイドラインが各省に多数存在しており、それらを洗い直して修正することで、かなりの部分が改善可能だとされる。
・まずはこうした“手前のレベル”でやれることをやり切り、それでもなお足りない部分について、次の段階として法改正を検討する流れになると見立てている。
「制度適正化」は細かいが数が多い地道な作業
・制度適正化の中身は、国会で大きく取り上げられるような派手なテーマというより、細かいけれど数が多い実務レベルの見直しが中心だと説明される。
・こうした作業は国民の目には見えにくい一方、実際には生活の現場にじわじわ効いてくるため、「やればやるほど身近なところで変化を感じる」タイプの改革である。
・大ぶりの制度改革はなかなか進まずフラストレーションが溜まりやすいが、政府が判断さえすれば動かせる「運用レベルの改革」を着実に進めていくのが高市流だと評価している。
外国人土地取得の規制とGATS(サービス貿易一般協定)の壁
・外国人による土地取得の問題については、専用の法律を1本立てる必要があるためハードルが高いテーマだと解説。
・背景には、WTOの枠組みであるGATS(サービス貿易一般協定)において、外務省が土地関連で十分な留保条件を付けなかった経緯があり、これが規制をかけづらくしていると指摘される。
・外務省は「留保をやり直すには100数十か国との交渉が必要だ」と難しさを強調しがちだが、実際に強く反対してくるのは中国など一部の国に限られるのではないかとの見方も示されている。
重要土地利用規制法の「運用拡大」でできること
・既に存在する重要土地利用規制法では、自衛隊施設など重要施設周辺のごく狭い帯だけが監視対象となっているが、これは政令や運用を変えることで拡大する余地があると解説。
・例えば、自衛隊施設を新設し、その「周辺」を監視区域に指定する範囲を広げていけば、日本国内の重要エリアの多くをカバーすることも理屈上は可能だという。
・極端な冗談として「今は1km程度だが、50kmにしたら日本のほとんどをカバーできる」といった話も紹介しつつ、法律を書き換えずとも、運用次第でできることは相当多いと強調している。
自衛隊施設や監視範囲の拡大イメージ
・自衛隊の基地や駐屯地などを「施設」と位置づけ、その周辺を広く監視区域に設定していけば、安全保障上重要な地域を事実上カバーする仕組みが作れるとの考え方が示される。
・もちろん実際にどこまで広げるかは政治判断だが、制度上は柔軟な設定が可能であり、官僚の裁量と政治の意思次第でかなり踏み込んだ運用もできるとされる。
オーバーツーリズムと「入国税・手数料」構想
・今回のパッケージには、オーバーツーリズム問題への対応も含まれる可能性が高いと見られている。
・観光地の負担を軽減するため、外国人から入国時に一定の金額を負担してもらう「入国税」のような発想もあり得ると指摘。
・ただし、正式な「税」として導入すると法的手続きが重くなるため、観光関連の手続きや入国時の各種手数料として負担を求める形にすれば、法律改正を伴わずに実現できる“裏技”もあると説明している。
高市首相と官僚の関係:素朴に「なぜできないのか」を聞くスタイル
・高市首相は、官僚から説明を受けた際に**「なんでこれができないのか」「こうすればできるのではないか」と素朴かつ具体的に問い詰めるタイプ**だと語られている。
・官僚が「事務時間が足りない」「今の運用では難しい」といった常套句でかわそうとしても、「いや、こういうやり方ならできるはずでしょう」と返されるため、“甘い答え”が通りにくいと見られている。
・その結果、各省庁の官僚にとっては仕事量が増え、従来の慣行を見直さざるを得ない場面が増える一方で、政策面では現行制度の枠内で改革が前に進みやすくなると評価される。
安倍政権との違いと「菅+安倍」型のリーダーシップ
・安倍元首相は、比較的「お任せ」の度合いが高く、各省庁に裁量を与える場面が多かった「大掴み」のリーダーシップだったと評価されている。
・これに対し、高市首相は、細部まで目を通し細かい指示を出すタイプで、スタイルとしては菅義偉氏に近いと分析される。
・全体として、高市政権は「安倍+菅を足して2で割ったような感じ」であり、官僚にとっては負担が増すが、実務レベルの改革が進みやすい政権だという見立てが示されている。
官僚にとっての負担と、国民にとっての「実感できる改革」
・各省庁にとっては、従来の惰性を許さない細かいチェックが入り、事務作業を組み替える必要が出てくるため、負担は相当大きくなると予想される。
・一方で、国民にとっては、在留資格や土地規制、観光、治安など、生活や安全に直結する分野で「分かりやすい改善」が起こり得るというメリットがある。
・最終的には、「今ある制度の枠内でどこまでやり切るか」が、高市政権の実務能力と政治的意思の試金石になるとまとめられている。
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