【要約】対日投資事前審査強化で中華ダミー会社の乗っ取りを防げ!【髙橋洋一チャンネル#1399】

【要約】対日投資事前審査強化で中華ダミー会社の乗っ取りを防げ!【髙橋洋一チャンネル#1399】
『髙橋洋一チャンネル」は、数量政策学者で嘉悦大学教授の髙橋洋一さんが視聴者の質問に答える形で、政治経済世界情勢など現在進行中の問題について理路整然と解説してくれるYouTubeチャンネルです。

  対日投資の事前審査強化

『高橋洋一チャンネル#1399』の内容を要約

日本版CFIUS創設の背景と狙い

・日本経済新聞が、政府が「日本版CFIUS」を創設し、海外企業による対日投資の事前審査を強化する方針を報じた
・CFIUS(米国の対外投資審査委員会)を参考に、技術・情報の流出や安全保障上のリスクを事前にチェックする枠組みを日本でも整備する流れ
・財務省、経産省、国家安全保障局など関係省庁を集めた常設の協議体を設け、案件ごとに審査する仕組みを検討
・自民党と日本維新の会の連立合意文書にも「2026年通常国会で日本版CFIUS創設を目指す」と明記されており、政権合意に基づく具体的な立法課題となっている
・対日投資はこれまで基本的に「ウェルカム」で、よほど露骨な案件でない限り、事実上ほぼ全てが認められてきた経緯がある

これまでの対日投資審査の脆弱さ

・形式上は財務省や関係省庁で事前審査を行う仕組みが存在したが、実態は「情報交換の場」程度で、実務は極めて甘かったと髙橋氏は証言
・財務省在籍時の実感として、海外から案件が来ると「基本はハンコをポンと押すだけ」という運用だったと振り返る
・審査担当は財務省国際局という、役所内ではややマイナー扱いの部署が担っており、人的体制も極めて貧弱
・国際局の審査担当は地方部局も含めて約70人とされるが、髙橋氏は「本当に70人もいたか疑わしい」ほど少人数だったと述べる
・投資案件の数に比べて審査する人間が圧倒的に不足していたため、実質的に「チェックしきれない→ほぼ認める」という構図になっていた

新セクション創設と霞が関の組織論

・日本版CFIUSの創設に伴い、財務省国際局の中に新しい専任セクションが設けられる可能性が高い
・新セクションには課長ポストが置かれ、専用の予算・人員が割り当てられると見込まれる
・増員規模は70人増ではなく、そのうち10人程度が専任増員になる「小さな一歩」というイメージ
・経産省側も同様に、対日投資審査に関わるポストを新設したり、財務省に出向者を送り込んだりすることが想定される
・霞が関の感覚では、新しいポストやセクションができること自体が役人にとっては「組織拡大」であり、評価の対象となる
・課長・室長級のポストが増えることでポスト争いの余地が広がり、「官僚側にも悪くない改革」として受け止められている側面がある

政府による「アメとムチ」の使い分け

・今回の改革は、財務省に対し「もっと真剣に経済安全保障に取り組んでほしい」という政治側のメッセージでもある
・政府側は「財務省さん、ここは国家の安全保障に関わる重要任務ですからしっかりやってください。その代わり予算と増員を付けます」と“アメとムチ”で働きかけ
・財務省職員から見ると、「大臣は厳しいことを言うだけでなく、必要なところにはちゃんと予算とポストをくれる」という評価にもつながる
・髙橋氏は、こうした「おだてながら組織を拡張させて仕事を本気モードにさせる」政治の手法を、面白い例として紹介している

中国などによる技術流出リスクと戦略企業の防衛

・改革の大義名分は、中国などによる日本の高度技術・機微技術の流出を防ぐことにある
・これまでの制度では、どこの国の投資であっても基本「OK、OK」と受け入れる姿勢が強く、経済安全保障の観点は薄かった
・アメリカでは、日本製鉄が米企業を買収しようとした際、CFIUSが審査に関与し、最終的に「黄金株(ゴールデン・シェア)」の仕組みで安全保障上の歯止めをかけた例がある
・日本でも今後、戦略企業への投資に対して、黄金株のような特別な議決権・拒否権を持つ株式を活用する可能性がある
・審査対象として想定されるのは、NTTのような通信インフラ企業、政府保有株が多い企業、さらには防衛関連産業など、重要技術を持つ企業
・こうした企業に対して、特定国・特定勢力が支配権を握ることは、国家安全保障上の重大なリスクになり得る

ダミー名義・迂回スキームへの対応

・中国資本などは、直接自国企業名義で買収に来るのではなく、日本人名義や第三国企業を使った“ダミー”スキームを使うケースが少なくない
・表向きの名義は日本人や一般外国企業だが、実質的な支配者が中国企業というケースもあり得る
・新しい審査体制では、投資申請の段階で「この名義人は実体か、それともダミーか」をチェックし、ダミーであれば「本当の出資者は誰か」を問いただすことが想定される
・従来は、名義上中国企業でなければ「チェックしたことにして終わり」という運用で、ダミーを通じた買収も事実上ノーチェックだった疑いがある
・今後は「中国企業そのもの」だけでなく、「中国の支配を受けている企業」も規制対象となる可能性が高い
・過去には、電池・バッテリー関連企業が事実上乗っ取られたような事例もあり、こうしたケースを事前審査で防ぐことが重要な課題

審査強化の具体的イメージと今後の方向性

・新体制では、対日投資審査の段階で、危険な案件については株式取得の中止・制限、持ち株比率の上限設定などの対応が取り得るようになる
・従来は「株主構成が何%になったら形式的にチェック」という事後的・形式的な運用が多かったが、今後は事前段階でギリギリまで株式を買い進められないようにする仕組みが導入される見通し
・複数のダミー名義で株を分散取得し、最後にまとめて支配権を握るような手法も、審査が厳しくなれば引っかかる可能性が高まる
・審査件数に対して人員不足という構造的な問題は残るものの、「ただハンコを押すだけ」の状況からは脱却しつつある
・髙橋氏は、日本がようやく経済安全保障の観点から対外投資審査を「普通の国並みにする」ためのスタートラインに立ったと評価している


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